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2019.10.07

スタートアップはIPOを目指すべきか?メリットとデメリットを比較

多くのスタートアップ経営者にとって、IPOはいつか目指したい目標のひとつです。IPOを実現させると、会社の社会的評価が上がったり、よりスピーディーに事業を拡大したりできるようになるかもしれません。

しかし、具体的にどんなメリットやデメリットがあるのかは把握できているでしょうか?IPOはスタートアップの憧れである一方、決して楽な道のりではありません。この記事を読んで長所と短所を知ったうえで、IPOを目指すべきかどうかをじっくりと検討してみてください。

 

IPOとは

まず初めに、IPOについて解説しておきましょう。

企業が新たに株式を公開することをIPO(Initial Public Offering)と言い、日本語では「新規株式公開」と呼ばれます。

株式会社の株式というのは当初は創業者などが保有しているものであり、上場することで初めて広く一般の投資家に購入してもらえるようになります。多くの人に株式を取得してもらうためには株式を公開する必要があり、初めて証券取引所で株式を公開することを特にIPOと言います。

IPOをすることで、投資家から資金を集めて事業拡大を目指すことができるようになります。そのため以前から、IPOはスタートアップ企業の経営者にひとつの目標として認識されているのです。

 

スタートアップの定義

では、スタートアップとは何のことでしょうか。最近は日本でもよく使われるようになってきた言葉ですが、正確な意味はいまいち理解できていないという人もいるかもしれません。スタートアップと呼ばれるのはどのような企業なのでしょうか。

 

スタートアップとは

スタートアップ企業を一言で説明するとしたら、「社会にイノベーションをもたらすような新しいビジネスモデルの開拓を目指す企業」と言うことができるでしょう。この目標達成のため、組織は即戦力となるような優秀な人材で構成され、たいていの場合は非常に小規模です。

似たような文脈で、より一般的に使われる名称として「ベンチャー企業」というものがありますが、スタートアップとベンチャー企業との違いは何なのでしょうか。

 

スタートアップ企業とベンチャー企業の違い

まず一つ目は、事業フェーズの違いです。スタートアップは英語で「起業」「立ち上げ」という意味であるように、創業間もない企業のことを指します。

一方でベンチャー企業は、スタートアップのように社会に革新をもたらす企業ではあるものの、必ずしも創業間もない企業とは限りません。創業後10年以上経っていてもベンチャー企業と呼ばれることもあります。

ほかによく挙げられるのは、成長速度の違いです。スタートアップは多くの場合、短期間で急激にビジネスを成長させて利益を生むことを目標としています。一方ベンチャー企業の場合は、中長期的な視野でじっくりと事業を拡大させることを目指す場合も多く、必ずしも成長速度が速いわけではありません。

ベンチャー企業というのが日本特有の名称であることから、実際にはスタートアップとベンチャーが似たような意味合いで使われることもよくあります。しかし、上で挙げたようにいくつかニュアンスの違いもあるので、少し異なるものだと理解しておくとよいでしょう。

 

スタートアップ企業にとってのIPOのメリット

IPOとスタートアップについてそれぞれ理解できたところで、次はスタートアップ企業がIPOを行うことによるメリットを見ていきましょう。

 

メリット1: 社会的認知度の向上 

上場すると、社会的な認知度が向上します。これはIPOの大きなメリットと言えます。

まだあまり実績がなく設立して間もないスタートアップ企業は、多くの場合は世間的にそれほど認知されていません。しかし、IPOを実現することでニュース等に取り上げられる機会が増え、知名度は上昇します。上場する前と比較すると、会社や事業についてより多くの人に知ってもらえるようになるでしょう。

社会的な変革を狙って新しいビジネスモデルをゼロから開拓していくスタートアップ企業にとって、注目度の高さは事業にとって大切な要素です。IPOをすることでより注目されるようになると、同時にチャンスも広がるのです。

 

メリット2: 資金調達が簡単になる 

資金調達は、IPOの目的のひとつとしてもよく挙げられます。上場すると株式を発行して一般の投資家に購入してもらうことができるようになるため、資金調達力が向上するのです。

上場していない企業の場合、銀行など金融機関からの融資に頼らなければ、まとまったお金を調達するのは難しいのが現状です。しかし、上場企業であれば、株式市場からお金を集めることが可能になり、資金調達の手段が増えます。

また一般的に、IPOを実現させると社会的な信用力の向上にもプラスに作用するので、金融機関からの融資可能額も増加することが予想できます。

事業を成長させるためには、設備投資などにまとまった資金が必要となる場面が必ずあります。IPOによって資金調達が簡単になると、ビジネスの拡大にも好影響を与えるのです。

 

メリット3: 創業者の発言権を失わない 

上場しても、創業者は発言権を失わなくて済みます。経営に対する影響力を維持しておくことができるのです。もちろん株主に対する説明責任などは生じるようになりますが、株主構成を適正に保つような経営戦略をとることで、経営権を創業者に残すことが可能だからです。

経営者としての立場を残すことができるというのは、IPOの最大のメリットと言ってもよいでしょう。今後も経営の判断はできる限り自分で行い、自分の手でビジネスを拡大させていきたいと考えている場合、IPOはオススメの選択肢となります。

 

メリット4: 現金収入を得ることができる 

IPOのもう一つのメリットとして、現金収入を得られるということが挙げられます。公開された株式を取得するため、一般の投資家から資金が集まるからです。現金収入を得ることができるのは、IPOのときだけではありません。上場した後も自社の経営戦略に応じて必要なタイミングで株式を発行し、投資家から資金を集めることが可能なのです。

会社の事業計画に合わせて資金調達を行うことができるのは、経営上プラスになります。また、ビジネスを行う上ではスピーディーな決断が欠かせない場面もあるため、キャッシュフローに余裕があるというのも重要なことです。こうした観点から、現金を手に入れることができるというのはIPOを行うメリットと言えるでしょう。

 

スタートアップにとってのIPOのデメリット

IPOにはメリットがある半面、あまり良くない面もあります。ここでは、IPOのデメリットを考えてみましょう。

デメリット1: IPOの条件が厳しい

IPOする際、一番大きくデメリットとなるのは、そもそも実現するのが難しいということです。IPOするための条件は非常に厳しいからです。

日本にいくつかある株式市場でそれぞれ条件は異なるのですが、企業の時価総額や純資産の額が一定以上であること、上場時に一定の株主数が見込めることなど、満たさなければいけない基準がいくつかあります。ほかにも、監査制度の整備や労務管理の強化、過去の財務諸表の見直しなど、内部の体制を整えるためには様々な準備が必要となります。

IPOを実現する社内体制を整えるために、数年単位の時間をかける企業も珍しくありません。それだけの手間を費やしてでもIPOを目指す価値があるのかということは、準備を始める前にきちんと検討しておく方がよいでしょう。

 

デメリット2: 経営へのプレッシャーが大きくなる

IPOにはメリットもたくさんあるのですが、上場することで経営へのプレッシャーが大きくなるという負の側面も避けられません。一般の株主に対して経営の説明責任が生じるようになり、また彼らの意見も検討しなくてはならないようになるからです。経営状況に関する説明をないがしろにすると、投資家からの信頼を失ってしまうでしょう。結果として社会的信用を失ったり、株価が下がって株式市場で継続的に資金調達を行うことが難しくなったりします。

また多くの場合、一般の株主は短期的な業績に注目しがちです。そのため、上場すると経営の視野を短期的なスパンに変えざるを得なくなり、中長期的な戦略を立てにくくなってしまうことがあります。常に結果を出し続けなければいけないというプレッシャーにさらされるのです。

経営が上向きであればそれほど問題はないでしょう。しかし、見通しが外れて経営状況が悪化したり、長期的な利益をとるために短期的には厳しい経営状況を耐えなければいけないような場合、多くの株主に理解してもらえるように説明をしなければならないというのはとても大変な仕事です。

 

デメリット3: 上場準備・維持に手間とコストがかかる

IPOを実現するためには厳しい条件がある、という話はすでにしました。この条件を満たせるよう体制を整えるためには、手間もコストも莫大にかかります。

経営基盤の強化、社内の制度や管理体制の変更・構築など、必要な準備は多岐に渡り、大きな出費が伴います。そのうえ、数年単位で時間がかかることも予想されます。それでも上場するためのハードルを越えることができず、IPOを実現できなかったという結果になることもあるのです。

その上、上場したら面倒な作業はすべて終わりだというわけでもありません。上場を維持するために、再び様々なコストが必要になります。たとえば、投資家への情報開示のために株主総会を開催したり、有価証券報告書など各種報告書を作成したりと、また新たな作業が増え、それに伴う費用も負担しなければいけないのです。

IPOを実現するための準備に手間とコストがかかるだけでなく、上場企業というステータスを守るためにも引き続き膨大な手間とコストが必要だということは、IPOを目指す前に知っておいた方が良いでしょう。

 

デメリット4: 敵対的買収の危険

株式を一般に公開すると、敵対的買収(敵対的TOB)に合うリスクが生じます。敵対的買収というのは、株式を多数購入することで実質的に企業の経営権を握ってしまうことですが、事前にその企業の経営者の同意を得ないまま行われるために「敵対的」と言われています。最近では、旅行大手HISがユニゾHDに対しての敵対的買収(敵対的TOB)が話題になりました。日本ではあまり事例が少ないですが、欧米では買収手法のひとつとして注目されていることも事実です。

敵対的買収をされると経営の支配権を失ってしまい、IPOのメリットが活かせなくなってしまいます。IPOを目指す場合には、このようなリスクがあることを理解しておかなければなりません。

 

IPOよりもM&Aが好まれている

ここまでIPOについて詳しく紹介してきましたが、実はスタートアップにとって、資金調達をしたり社会的な認知度を向上させたりするための方法は必ずしもIPOだけではありません。最近では、M&Aを目指す経営者が増えてきています。ここでは、スタートアップにとってM&Aにはどんな魅力があるのかについても見ておきましょう。

 

M&Aの魅力1: 未上場でも資金調達が可能

まとまった資金を調達するためには、必ずIPOを成功させて上場しなければならないというわけではありません。M&Aを目指すという手段もあります。なぜ、M&Aで資金を集めることができるのでしょうか。

スタートアップのM&Aでは大企業が買い手となることが多く、企業の知名度や信用力を向上させる効果があります。その結果、銀行など金融機関からまとまった額の融資の合意を得ることができるようになり、上場しなくても資金調達力にポジティブな影響を与えるのです。

また、買い手側の企業はスタートアップが手掛けているビジネスを拡大させるために様々な戦略を打つでしょう。将来性に期待しているからこそ、スタートアップ企業を買収しているからです。戦略の一環として、設備投資などのためのまとまった資金を割り当ててくれる可能性もあります。つまり、金融機関からの借入に頼らなくても事業拡大のための資金を得ることができるのです。

このように、M&Aを成功させることで資金調達も今までより容易になります。事業拡大に向けて資金を集める方法は、IPOだけではありません。特に経営資源の豊富な大企業との提携にはメリットも多く、M&Aを視野に入れるスタートアップの経営者は増加してきています。

 

M&Aの魅力2: IPOよりEXITしやすい!

M&Aには、IPOよりも実現の可能性が高いというメリットもあります。将来性のあるスタートアップを買収したい企業は数多くあるからです。

一方で、すでに説明したとおりIPOの実現には高いハードルが伴います。時間と手間をかけて準備を進めても必ず成功するわけではなく、IPOを目指すスタートアップ企業の中で実際に上場する例は現実としてそれほど多くはありません。

従来、日本のスタートアップはIPOを目標とすることが多く、M&Aにはあまり良くない印象を抱いている経営者もいました。しかし最近では、利益を確定させるEXIT戦略としてよりハードルの低いM&Aが注目を集めてきています。スタートアップ企業にとってメリットが大きいことも知られるようになり、M&Aが見直されつつあるのです。

 

スタートアップはIPOを目指すべきか

ここまでIPOのメリットとデメリット、そしてIPOにはないM&Aの魅力についても紹介してきました。では、結局のところ、スタートアップ企業はなぜIPOを目指すべきなのでしょうか。その答えは、企業の状況や目標によっても異なります。

 

スタートアップ企業が考えるIPOとM&A

IPOの検討を進めるメリットが大きいケースもあります。例えば、継続的に事業が拡大することを見込んでいて、創業者に今後も積極的に経営に関わる意思があるような場合です。上場をした後に企業が更なる成長を遂げたとき、IPOを選択した場合はその分の利益も追加で得ることができます。また、経営権を持ち続けることが可能なので、中心となって長期的に事業に関わることができます。

一方で、無理にIPOを検討しなくてもよいケースもあります。たとえば、現状のままの安定した経営を続けたい場合や、創業者利益を確定させてしまいたい場合です。次々に新しい事業を立ち上げる起業家として活躍したくて、ある水準以上に事業が成長したら、あとはほかの人に任せたいと考える人もいるでしょう。このように創業者利益を確定させるEXITを重視している場合は、M&Aを目指してみるのも良いかもしれません。あるいは、事業を拡大させるためなら自社にないツールもどんどん利用してみたいといった考えであれば、M&Aを行って他社との連携を深める方が大きなメリットを得ることができます。

今まで、あまりM&Aを検討していなかったという方も、IPOにこだわりすぎずに幅広い視野で今後の戦略を検討してみるとよいかもしれません。

 

スタートアップ企業とIPO

スタートアップにとってのIPOには様々なメリットがある反面、注意しなければいけない点も数多くあります。王道の経営戦略として、スタートアップはどこかの段階でIPOを目指すべきだと考えている経営者もいるかもしれません。しかし、なぜ上場したいのかという目的意識がなければ、時間や費用の無駄になってしまう可能性もあります。

IPOは、決して最高の選択肢というわけではありません。世間の注目を集めている優良な企業であっても、あえて上場しないままでいるというケースは実際にたくさんあります。企業の状況や目指すものによって、とるべき戦略は変わってくるのです。

何を目指すべきか迷ってしまったという場合は、まずIPOとM&Aを比較するところから始めてみてはいかがでしょうか。方法は一つではありません。まずは、様々な選択肢から、自社にあった最適な方法を検討してください。

 

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