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2020.03.02

スタートアップが目指すEXITとは?2つの方法を比較

近年、スタートアップという言葉をよく耳にするようになりました。しかし、スタートアップがどのような企業のことを表しているのか説明できないという方も少なくないのではないでしょうか。

本記事では、スタートアップ企業の定義や役割、そして、彼らが目指すゴール、EXITについて解説していきます。これからスタートアップを立ち上げようとしている方、あるいは、スタートアップで働きたいという方は、参考にしてみてください。

「今までにないビジネスモデル」とその「成長スピード」!こそスタートアップたる所以

スタートアップ企業とは、起業してまだ間もない独立した会社でありながら、これまで市場に存在しなかったまったく新しいビジネスモデルを開発(イノベーション)していて、かつ短期間で急成長を遂げている中・小規模企業と定義されます。

グーグルやアップルなどが本社を置き、イノベーションの聖地とされているシリコンバレーはスタートアップという概念の発祥の地であり、現在はアメリカはもちろん海外でもスタートアップやスタートアップ企業という言葉は広く使用されています。

「新しいビジネスモデル」「成長スピード」「構成する組織」「短期間」の4つがスタートアップ企業を示すキーワードとなり、これらに該当しない場合には、中小企業ではあっても、スタートアップ企業ではありません。

ベンチャー企業との明確な違いは?

一方、スタートアップ企業とともによく使われているベンチャー企業とは、新技術や高度な知識を軸として、大企業では実践しにくい創造的・革新的な経営をしている中・小規模企業のことであると定義されます。

スタートアップ企業に比べて長期間であり、組織としての規模も大きくなります。また、ベンチャーの本来の意味には「投資を受けている会社」という要素が含まれているので、中小企業とベンチャー企業の違いについては、「投資を受けているかどうか」によって区別されます。

スタートアップの資金調達に欠かせないVCという存在

スタートアップ企業がその成長スピードを維持し続けるためには、外部からの資金調達が欠かせません。事業を成功させるために、また世界に向けて発信していくためにも、ある程度の資金が必要です。そこで、将来性があると見込まれるスタートアップ企業に対して投資をするのがベンチャーキャピタル(VC)です。

ベンチャーキャピタルは、将来的にスタートアップがEXITすることで初めてリターンを得ることができます。そのため、彼らからの資金調達を得るには、事業の明確な目的やビジョンを確立して、いかに彼らの心を掴み、協力を得ることができるかどうかが、成功へのカギと言えるでしょう。

VCからの支援を受ける=必ずEXITすること

では、スタートアップが目指すEXITとは一体何なのでしょうか。

EXITとは、、出資者(創業者・エンジェル投資家・ベンチャーキャピタル等)が、これまで資金調達で支援してきたスタートアップ企業から利益(リターン)を回収することを意味しています。

出口戦略(exit strategy)とも言われますが、もともとの意味は、ベトナム戦争時にアメリカ国防総省が、敗勢あるいは損害が甚大な状況下において、いかに人命や物資の損失を最小限に抑えて軍を撤退させるかを検討し実施することに対する戦略として用いていた言葉です。

そこから経営用語に転用され、市場もしくは企業経営・所有から撤退するときに、経済的損失を最小限にする戦略のことを指すようになり、現在は投資において投下した資本を、いかに最大限に回収するかという経営戦略のことを意味する言葉として使われています。

それでは、その出口戦略(EXIT)の手法として活用されている、株式市場への株式公開(IPO)と株式譲渡による事業売却(バイアウト)とはどういうものかについて、次に解説していきます。

スタートアップが目指す2つのEXITの手法

IPO(株式公開)とは

IPOとは、「Intial(最初)Public(公開)Offering(売り物)」の略称で、未上場企業が新規にて株式を証券取引所に上場することによって、それを投資家に取得させていくものです。このことを新規株式上場といいます。通常、新たに株式を公募したり、上場前に株主が保有していた株式が売り出され、これらの株式について証券会社を通して投資家に配分することをIPO(新規株式上場)と称しています。

先述したように、スタートアップ企業やベンチャー企業は外部の投資家から出資を受けると、彼らに投資回収のチャンスを与えることが求められます。その一つがIPOであり、国内の多くのスタートアップ企業やベンチャー企業は、IPOを「出口戦略」の手段として捉えています。

M&A(バイアウト)とは

EXITのもうひとつの代表的な手段がM&Aです。M&Aは、「Mergers(合併)&Acquisitions(買収)」の略称であり、複数の企業がお互いの利益のために協力することで、新設合併、吸収合併、業務提携、資本提携、株式譲渡、事業譲渡などさまざまな手法で行われています。

M&Aは事業拡大や新規事業分野への参入、事業承継、後継者不在問題などの課題を抱えている企業が、お互いの不足を補い合う経営戦略とされており、近年、IPOよりも注目を集めています。

M&Aは、もともと欧米の企業が経営戦略として積極的に活用してきたもので、最近では、日本国内でもM&Aを活用する例が多く見られるようになってきています。ここで、合併と買収は具体的にどのような手法で行われるのか、詳しく見てみます。

(1)合併

M&Aにおける合併とは2つ以上の企業を統合して1つの法人格にする手法で、資産・負債も同時に引き継がれます。吸収合併と新設合併があり、許認可や免許の承継については、ルールが決まっています。

吸収合併:存続する企業は消滅する企業の許認可や免許を承継することができる

新設合併:新設する企業は消滅する企業の許認可や免許を承継することができない

このため、新設企業は改めて申請をして許認可や免許を取得しなおすことが必要になります。また、吸収合併では株式上場がそのまま維持されますが、新設合併の場合は新設合併に伴い上場廃止となるため、改めて上場手続きをする必要があります。

(2)買収

M&Aにおける買収は、1つの株式会社の経営権を買い取ったり、株式会社の事業の一部を買い取ったりする手法のことを意味しています。M&Aによる買収の主な手法には、株式譲渡・事業譲渡・株式交換(または移転)の3種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。

 

  • 株式譲渡:売り手が株式を売却し、買い手は対価として現金を支払う。経営権を掌握するには、全株式の3分の2以上を取得することが必要
  • 事業譲渡:売り手企業が持つ事業のすべて、または一部を買収する手法
  • 株式交換・移転:譲渡側の全株式を他社に譲渡し、譲受側は対価を株式で支払う

 

なお、株式交換と株式移転では、株式を交付する対象が異なります株式交換においては、既存の株式会社に株式を譲渡するのに対して、株式移転の場合には、新設の株式会社に株式を移転させます。

M&Aが行われる目的

M&Aは、企業にとって重要な経営戦略の一つであって、M&Aが行われる目的は企業によってさまざまです。

企業が行うM&A

企業がM&Aを行う目的としては、大まかに3つの理由が挙げられます。

1つ目は、M&Aにより相手先企業の持つ資金・人材・ノウハウを取り入れることです。これによって、自社の中核事業を強化したり、弱みを補強することにより、新たな市場への進出や新事業の立ち上げをすることができるようになります。

2つ目は、後継者問題を解決するためです。近年は、後継者問題を解決するための事業承継や、業績不振が原因で一部事業を売却するのが目的としてのM&Aもたくさん行われています。

3つ目は事業拡大のためです。近年では、業績が好調であってもさらなる成長を求め、大手企業の傘下に入り、事業の拡大を目指すことを目的として、M&Aを行う事例もあります。

M&Aが増えている理由

現在、M&A市場は増加傾向にありますが、その背景には、日本の少子高齢化問題や経営者の高齢化、後継者不足などの社会的な問題があります。

これは、生産人口(15歳〜64歳)の減少がさまざまな業界において人手不足の最大の要因とされており、中小企業では人材不足が経営難に直結する深刻な問題となっております。この流れにより、今後、第三者への事業承継がさらに増加していくことが予想されます。

また、リーマンショック以降低迷していた新規株式公開(IPO:Initial Public Offering)も徐々に回復してきており、日本のスタートアップ企業やベンチャー企業のEXITとしてM&Aを活用する企業が増加してきています。

さらに、一般的な企業価値算定額を遥かに上回るM&Aの実例もあることから、今後は国内企業でもM&Aがより一層活用されていくものと考えられます。

IPOによるEXITのメリット

つぎに、IPOとM&Aにはどのようなメリットとデメリットが考えられるのかを紐解きます。

多くのスタートアップ企業が目標とするIPOには以下のようなメリットがあります。

①経営権を保持できる

IPOにおいては、上場する際に一定の持ち株を売却するケースがほとんどとなっています。しかしながら、すべての持ち株を売却する訳ではありません。そのため、IPOの後も経営者は、引き続き会社の経営に携わることができるのです。

株主の期待を背負った上で、さらなる高みを目指して経営活動を継続することができます。会社の経営自体にやりがいを抱いている経営者にとっては、最も適したEXITの手法であると言えます。

②株価高騰による利益

IPOを実施することによって、それ以前と比べて株価が一気に高騰しますので、IPOの際に持ち株を売却することによって、莫大な利益を獲得することができます。ただし、場合によっては後述するM&Aの方が、EXITの時に得られる利益が多くなるケースもありますが、一般的にはIPOの方が圧倒的に多額の利益を獲得することができると言われています。

IPOを選ぶデメリット

スタートアップ企業が目指すIPOにもデメリットがありますので、しっかりと抑えておきましょう。

①IPOの条件が厳しい

IPOを実現するためには、さまざまな条件を満たす必要があります。純資産額や利益額等、満たすべき条件は多種多様にあります。さらに条件を満たしたとしても、IPOの監査にもかなりの時間がかかります。

また、IPOの場合には事業を成長させていくのに多額の費用が必要になることに加えて、IPOの監査自体にも莫大な費用がかかってしまいます。このため、近年は敢えてIPOによるEXITを目指さない企業も増えています。

②手続きが面倒

EXITの際には、有価証券報告書を始めとして、膨大な書類を提出しなければなりません。IPO時の株式売却においても、面倒な手続き(TOBに関する手続き)が必要となる可能性もあります。

IPOによるEXIT戦略は、多くの収益が得られるメリットもありますが、膨大な手続きや説明責任が発生します。こういった側面から、近年ではIPOによるEXIT戦略ではなく、M&Aを視野に入れる経営者も増えてきています。

M&Aを選ぶメリット

一方M&AでのEXITの場合は、以下のようなメリットがあります。

①条件がない

M&Aは、IPOよりも早く確実にEXITを実現することができます。IPOの場合は、資本金や利益額といった厳しい条件をクリアすることが必要になると説明しましたが、M&Aは、相手企業が買いたいと決断すれば、その時点でEXITが成立します。

また、M&Aの手続きも、IPOのそれと比較すると格段に難易度が下がり短期間で完了することができます。近年はプロダクトライフサイクルが短命化の傾向にありますので、長い時間をかければかけるほど、マーケットやプロダクトの成長性などの変化に耐えられないリスクが高まります。

M&Aを活用することによって短時間かつ確実にEXITを実現できるため、近年はM&AによるEXITを目指す企業が増加してきており、今後もこの傾向は続いていくものと予想されています。M&Aを専門とする企業やマッチングサイトも増えてきているため、そういったサービスを利用することで、より短時間で確度も高くEXITできる可能性が高まっています。

②シナジー効果を得られる

M&Aにおいて、たとえ赤字の企業であっても、シナジー効果を期待し買い手が欲しいと思う企業であれば、直ちに取引が成立することも可能です。シナジー効果は、基本的に「相乗効果」と解釈され、様々な種類が存在します。

売上シナジー

売上シナジーは、売上に発揮されるシナジーのことを指します。経営統合などでそれぞれの企業売上が合わさることで、トータルの売上が大きくなります。また、業務提携の場合、販売チャネルの拡大や顧客、流通網の拡大により、売上の向上が期待できます。

コストシナジー

コストシナジーは、企業経営をする際に発生するコスト削減に関するシナジー効果のことを指します。生産設備の稼働率の向上、M&Aによる拠点の統廃合、物流コストや重複してしまう間接費などの削減で期待される効果となります。

経営シナジー

経営シナジーは、M&Aにより異なる企業の統合、もしくは業務提携により両企業のノウハウが共有されて発揮されるシナジーのことを指します。特に異業種同士のM&A統合や業務提携であれば、それぞれの違う得意分野が組み合わさることで、さらなる企業成長に繋がることが期待できます。

投資シナジー

投資シナジーとは、M&Aによる統合や提携した企業の投資力、人員、研究開発など、知識や生産設備が合わさることにより発揮されるシナジーを指します。

技術基盤や資材調達などが共通化していくことができるので、より良いサービスを提供するための研究開発や投資が期待できます。投資の結果、さらによい製品やサービスを生み出すこともできるでしょう。

M&Aを選ぶデメリット

ただし、M&Aにもデメリットがありますので、十分に吟味してから戦略決定をしましょう。

①経営に関する権限が小さくなる

M&Aにより大企業などの傘下に入った場合、経営者の権限が小さくなるというデメリットがあります。これは買い手側企業の経営方針、売上目標、予算などに従う必要が少なからず発生するからです。

この場合、経営者の権限がどうなるのか、M&A時の交渉段階でしっかりと諸条件を詰めることが重要です。M&Aにより、完全に経営権を失うかわりに、買い手側企業の役員となる、社員となる、完全退陣を求められるなど、買い手側は明確な目的を持ってM&Aを実行するため、経営権が小さくなることは、ある程度は仕方のないことです。

②EXITの利益額はIPOに比べると少ない

IPOと比べると、M&AによるEXITは金額が低くなるケースがほとんどです。

とりわけ利益が出ていない状況で売却すると、数千万円〜数億円の企業価値となってしまうのです。とはいえ、IPOよりも短期間かつ低リスクでEXITを実行することができるために、確実にEXITをしたい場合においては、この点は気にならないでしょう。

③買い手が見つからない

そもそもですが、たくさんある企業の中から、自社を買ってもらう企業を探すのは簡単ではありません。買い手候補となる企業が見つからないケースも当然あります。

買い手企業を見つける可能性を上げるには、自社の企業価値を高めることです。自社の強みとなる独自技術やノウハウを伸ばし、無駄な費用を発生させない、不要な在庫を抱えないなど、買い手候補企業が確実に見る点をしっかりとケアして企業価値を高めておくことで、いいマッチングに繋がる可能性が高まるでしょう。

④希望金額での売却ができない

会社や事業を売る際の価格は、将来、どの程度安定的な収益を上げられるのかにより決定します。現状では収益を上げていたとしても、将来性がない場合は企業価値は下がりますし、低く評価されてしまいます。自社の企業価値を信じている経営者にとっては、思わぬデメリットとなるでしょう。

⑤顧客(取引先)からの反発

M&Aを実施した場合、経営母体が変わるため、契約条件の変更や担当者の変更などが発生することが考えられます。その結果、M&A前の企業を信頼して取引をしていた企業である場合は、契約を打ち切られてしまうリスクが考えられます。

取引先との関係値を壊さないためにも、不信感を抱かれないようにきちんと説明する義務があります。

逆を言えば、事前に顧客(取引先)へ丁寧に説明をし、契約条件や担当者を変更しないなどの対応をきちんとできれば、リスクどころかさらなる信頼を勝ち取ることも可能です。

【まとめ】スタートアップに適したEXIT戦略

EXIT後に大手企業の傘下になると、スタートアップ企業は財政面で安定し、安心して事業開発に集中することができるようになります。また、ベンチャーキャピタルは確実にEXITを行いリターンを回収できます。そして、大手企業はそのノウハウや技術が統合されたことで、人材育成や事業開発にかかる時間やコストを最小限にすることができるでしょう。

こうしてIPOとM&Aのメリット・デメリットを比べてみると、M&Aを行なってEXITするほうが、スタートアップ、ベンチャーキャピタル、買い手企業の三方向にとって、Win-Win-Winの関係になると考える企業が増えているのも納得かもしれません。

いかがだったでしょうか。スタートアップ企業にとって、EXITは重要な目標であり、課題でもあります。いつどのような方法でEXITをするかは、事業の成長性により、都度、柔軟に動いて行くことが求められるでしょう。

スタートアップ企業は、資金調達が大きな壁となるのが常ですが、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルから投資を受け、急激な成長を達成しているスタートアップ企業も数多く存在します。出口戦略のタイミングと手法を強く意識し、短期間のうちに最大限の成長を遂げIPOを目指すのか、安定した長期経営のためM&Aを目指すのか、スタートアップ企業は、しっかりと考えていく必要があります。

 

 

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