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2019.12.10

ベンチャー企業の出口戦略とは?出資を受ける前からEXITまでの流れ

ベンチャー企業が出資者に対して最終的に利益を確定させ、キャッシュ化する戦略をEXIT戦略(出口戦略)といいます。創業期からどのようなEXIT戦略を取るべきかを明確にしておくことは、事業計画の指針にもなり、資金調達時にも出資側を納得させる要素になるため、ベンチャー企業にとっては非常に重要な経営方針です。

今回はEXIT戦略とは何か、EXIT戦略を行うための実際の方策について紹介します。

 

ベンチャー企業とは

日本でベンチャー企業とは、創業したばかりでかつ、成長著しい企業という認識があります。ベンチャー企業と似た言葉で、スタートアップ企業という言葉もあります。これらにはどのような違いがあるのでしょうか?

ベンチャー企業とスタートアップ企業ともに日本で認識されているベンチャー企業のことで、財務会計上からの違いはありません。しかし、これらの大きな違いは、経営目標が異なっていることです。ベンチャー企業は、中長期経営計画を策定し、どのような戦略に基づいて経営するかを決めています。一方、スタートアップ企業は短期間で急成長している企業のことを指し、海外でもこうした企業はスタートアップと呼ばれています。

資金提供を受けたベンチャーキャピタルが投資資金を回収するため、ベンチャー企業はEXIT戦略を立てる必要があります。

 

ベンチャー企業の資金調達

ベンチャー企業のEXIT戦略を紹介する前に、資金調達方法について紹介します。ベンチャー企業の資金調達の方法にはいくつかあるのですが、そのもっとも代表的な方法が出資による資金調達です。社会的信用の低いベンチャー企業は銀行などから融資を受けることが難しいケースがあるので、融資よりもベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などから出資してもらうケースが主流です。

このほかにもベンチャー企業でも融資してもらえる日本政策金融公庫の新創業融資や国・地方公共団体からの補助金・助成金、さらにはクラウドファンディングによる資金調達もあります。どの資金調達方法が良いかは、ベンチャー企業の成長段階や資金調達額によって異なります。資金調達についてお考えのベンチャー企業の経営者は一度、中小企業診断士などの経営の専門家に相談されることをおすすめします。

 

ベンチャー企業への投資とEXITまでの流れ

次はベンチャー企業のEXITまでの一般的な流れについて紹介します。ベンチャー企業がベンチャーキャピタル等から出資を受けてEXITを獲得するまでは、アプローチ・審査・投資・支援・EXITの5段階を経ます。

 

アプローチ

まずは、ベンチャー企業はベンチャーキャピタルにアプローチをします。ベンチャー企業はベンチャーキャピタルなどが参加しているイベントに参加して出資してもらえるようにコンタクトを取ります。また、インターネット上でマッチングを行うプラットフォームもいくつかあります。マッチングサイトでは、登録しておけばベンチャーキャピタルの方からアプローチしてもらえる可能性があります。

 

審査

次にコンタクトの取れたベンチャーキャピタルは対象のベンチャー企業を審査します。この審査は平均して3か月ほどかかります。長く感じる方もいるかもしれませんが、この審査ではベンチャー企業の経営者との数回の面談・ヒアリングを実施し、そこから投資会社は時間をかけて審査を行うため、これだけの期間が必要になります。面談やヒアリングでは事業内容・事業の強みや弱みなどを聞き、経営者の資質や対象事業の成長性などを総合的に判断します。そのため、出資してもらえるかどうかは経営者のプレゼン力に左右することになります。

 

投資

審査を実施し、問題がないと判断したら投資契約を結び、出資してもらえることになります。なお、投資契約では提供される資金の使い道や経営目標を記載します。投資後は、提供した資金を適切に使用しているか、計画通り事業が進行しているかなどのモニタリングが行われます。

 

支援

出資後にもベンチャーキャピタル等の出資元から経営に関わる支援を受けることができます。具体的な支援策ですが、経営や財務、人事などの戦略策定の支援やコーポレートガバナンスなどの管理体制の支援、企業価値を高めるための企業の紹介などがあります。創業期間が短く、経験が浅い経営者の経営判断では、事業が上手くいかないケースが多く出てきてしまいます。そうならないよう、出資元は多くのベンチャー企業を見てきた経験から、適切な判断ができるような支援をしているのです。

 

EXIT

ベンチャー企業が目標を達成することができたら、ベンチャーキャピタルは投資資金を回収します。ベンチャー企業の株式上場後、もしくはM&Aによるベンチャー企業の売却で投資資金を回収します。

 

ベンチャー企業の「出口戦略」の意味

前項では投資する側から見たEXIT戦略の流れについて紹介しました。ここではベンチャー企業から見た「出口戦略」について紹介します。

ベンチャー企業から見た「出口戦略」とは、必ず事業に成功しなければならないというプレッシャーとの闘いになります。投資会社は投資した資金を回収することが目的であるため、経営支援を行って事業の成功確率を高めようとしています。ベンチャー企業の経営者はこの大きな期待に応えなければなりません。また、万が一、目標の期間内に事業が成功しなかった場合や成功の見込みがないと判断された場合は、株式の売却など強硬な手段で資金を回収される場合もあります。

 

ベンチャー企業が目指すEXITの方法

ベンチャー企業が目指すEXITの方法には大きく2つあります。それはIPO(株式公開)とM&A(バイアウト)です。いずれの方法も大金を獲得する方法なのですが、経営者や株主など利害関係者にとっては大きな違いがあります。ここではその2つのEXIT方法について紹介します。

 

IPO(株式公開)

IPOは株式公開のことで、幅広く資金調達をすることができます。経営者にとっては引き続き会社を経営することができ、ベンチャーキャピタルからの資金調達に比べて有限責任となり、金銭面での責任は小さくなる一方、出資者や社会全体に対して責任を負うことになります。従業員や取引先にとっても、IPOは引き続き同じ経営者が経営を行うため、雇用や取引の安定が見込まれるというメリットがあります。さらに、会社自体の資金調達力や信用力が大きくなるため、従業員の活躍の場が広がったり、ストックオプションによるキャピタルゲインを手に入れることもできます。

 

M&A(バイアウト)

M&Aでは軌道に乗ったベンチャー企業を売却して多額の資金を手に入れ、ベンチャーキャピタルはそこから投資資金を回収します。経営者にとっては売却益を獲得できたり、経営者としての重責がなくなるというメリットがあります。しかし、経営権が売却先に変わり、経営者が変わるため、従業員や取引先に影響を及ぼすというデメリットもあります。そのため、M&AによってEXITを獲得する場合は利害関係者に説明をしておく必要があります。

また、株主にとってのM&Aのメリットは、株式を即座に売却できることです。IPOでは株式売却による暴落を防ぐため、上場後、一定期間株式を売却することは禁止されており、IPO直後に株式を現金化することはできません。一方、M&Aではベンチャー企業を売却する時に株式を売却することになるのですぐに現金化することができます。

 

IPOによるEXITのメリット

IPOによるEXITのメリットには①経営権が保持できる、②株価高騰による利益の2つがあります。

メリット①経営権を保持できる

まず、1つ目のメリットは経営権が保持できることです。これはベンチャー企業の創業者が引き続き経営を行うことを意味します。そのため、先ほども紹介したように従業員や取引先に大きな影響がなく、雇用や取引を維持することができます。また、経営者としては資金調達力や知名度が向上するため、更なる事業拡大や優秀な人材を確保することができます。

 

メリット②株価高騰による利益

2つ目のメリットは株価高騰による利益の獲得です。経営者自身も自社の株式をある程度保有して経営を行っています。IPOはM&AによるEXITと比べて株式が評価されやすいため、IPO時の株価の上昇に期待ができます。そのため自社で保有している株式の株価が上昇し、資産を増やすことができます。

 

IPOによるEXITのデメリット

IPOによるEXITのデメリットは、①IPOの条件が厳しいこと、②手続きが面倒であることの2つがあります。

デメリット①IPOの条件が厳しい

1つ目のデメリットはIPOの条件が厳しいことです。株式市場によって上場できる条件が決められています。例えば東京株式市場で一番有名な第一部に上場する場合、事業継続年数が3年以上と定められており、ベンチャー企業であっても上場することは可能です。しかし、株主数が2200人以上、時価増額が250億円以上、純資産額が10億円以上という条件があり、軌道に乗ったばかりのベンチャー企業にとっては厳しい条件といえるでしょう。ベンチャー企業にとって上場しやすいのはJASDAQグロースですが、それでも株主数が200人以上、純資産額が黒字などの条件があります。これらの条件をクリアしないと上場できないため、IPOは簡単に行えるものではないことを知っておきましょう。

 

デメリット②手続きが面倒

2つ目のデメリットは手続きが面倒であることです。条件を満たし、申請書を提出すれば、すぐに上場できるわけではありません。監査法人を決めたり、有価証券届出書や目論見書などを印刷する会社の決定など、IPOまでに準備をする必要があります。ここまで準備して実際に上場できるのはJASDAQの場合、手続き開始から3年後になります。また、費用はJASDAQの場合、審査料や上場料に1000万円かかり、さらにコンサル費用や監査法人関連費用に数千万円がかかります。その準備や手続きが非常に手間で煩雑であることがIPOのデメリットであると言えます。

 

M&AによるEXITのメリット

M&AによるEXITのメリットには①売却するための条件がないこと、②シナジー効果が得られることの2つがあります。

 

メリット①売却するための条件がない(利益が出てなくても良い)

1つ目のメリットは売却するための条件がないことです。IPOの場合、株式市場に上場するために会社の資本金や利益額などの条件をクリアしないと上場することができません。一方、M&Aの場合、買い手の会社さえ見つければ、会社の資本金や利益額などの条件を満たす必要はありません。また、IPOに比べて短期間でEXITを獲得できます。通常数カ月をかけて行いますが、最短3日で行った例もあり、IPOよりもEXITのハードルが低い手法であると言えます。

 

メリット②シナジー効果を得られる

2つ目のメリットはシナジー効果が得られることです。ベンチャー企業側が得られるシナジー効果として、相手企業の流通経路が使えるといった「販売シナジー」、また設備などを共同で活用できるようになる「投資シナジー」があります。まだ大規模な流通経路や設備を持っていないベンチャー企業にとって、共同で使うことによる設備費用削減は大きなメリットです。さらに自社の経営資産活用の機会増加により事業規模をさらに拡げることができるようになるのもM&Aのシナジー効果といえるでしょう。

これら以外にもシナジーには「操業シナジー」「経営シナジー」があり、統合する企業によってどんなシナジー効果が生まれるかは変わります。シナジー効果を期待した売却先選びが今後の企業の成長に影響するでしょう。

 

M&AによるEXITのデメリット

最後に紹介するのはM&AによるEXITのデメリットです。こちらは①経営権がなくなること、②利益額が少なくなることの2つについて紹介します。

 

デメリット①経営権がなくなる

1つ目のデメリットはベンチャー企業の経営権がなくなることです。創業者は経営者として参画することはできなくなり、売却時に株式を手放すため将来的に得られるであろうキャピタルゲインを手に入れることはできません。

また、創業者から経営権がなくなることで一番影響を受けると考えられるのは従業員と取引先です。制度やメンバー、社風が変わる可能性があるため、それに慣れるまで大きなストレスになると考えられます。また、取引先も契約方法が変わったり、取引が中止になるといった恐れもあります。M&Aにより企業を売却する際には利害関係者に十分な説明が必要になります。

 

デメリット②EXITの利益額が少ない

2つ目のデメリットはEXITの利益額がIPOよりも少なくなる場合が多いことです。IPOの場合、将来にわたってベンチャー企業が成長する場合、株価が上昇するため、EXITの利益額は高くなっていきます。一方、M&Aの場合、今後の将来性を加味して売却金額を決めます。しかし、将来的に得られる利益額の予想は難しいため、最終的なEXITの利益額はIPOに比べて過小評価される場合が多いです。つまり、M&AによるEXIT利益額はIPOの利益額よりも少なくなってしまいます。

 

【まとめ】ベンチャー企業に適したEXIT戦略

ベンチャー企業のEXIT戦略について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?EXIT戦略にはいくつかあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。それを理解した上でそれぞれのベンチャー企業に適したEXIT戦略がとるべきです。必要であれば、経営やM&Aの専門家に相談してみましょう。

 

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